相続や遺言で出てくる言葉を、分野ごとにまとめました。気になる言葉を押すと、説明に移ります。
相続の基本
被相続人
ひそうぞくにん
亡くなって、財産を受け継がれる側の方です。相続は、この方が亡くなったときに始まります。
遺産相続
いさんそうぞく
亡くなった方の財産(預貯金・不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産)を、配偶者や子どもなどの相続人が受け継ぐことです。
→ 相続って何?
親族
しんぞく
民法では、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族(配偶者の血族など)を親族としています。相続人になれるのは、このうち配偶者と、子・親・兄弟姉妹など決められた順位の方です。
→ 相続ができる人
嫡出子
ちゃくしゅつし
結婚している夫婦の間に生まれた子です。結婚していない男女の間に生まれた子は「非嫡出子」といいます。2013年の民法改正で、非嫡出子の相続分は嫡出子と同じになりました。
養子
ようし
養子縁組によって親子になった子です。実の子と同じく相続人になります。普通養子の場合は、実の親との親子関係も続くため、実の親と養親の両方の相続人になります。
代襲相続
だいしゅうそうぞく
相続人になるはずの子が、先に亡くなっていたり、相続欠格・廃除で相続権を失っていたりする場合に、その子ども(亡くなった方の孫)が代わりに相続することです。兄弟姉妹が相続人の場合は、甥・姪まで代襲します。相続放棄をした場合は、代襲相続はありません。
相続欠格
そうぞくけっかく
亡くなった方や他の相続人を死なせて刑に処せられた、遺言書を偽造・破棄・隠したなど、法律で決められた重大な事情がある場合に、手続きを待たずに当然に相続権を失うことです。
相続廃除
そうぞくはいじょ
亡くなった方への虐待や重大な侮辱、著しい非行があった場合に、亡くなった方の請求(遺言でも可)にもとづいて、家庭裁判所が相続権を失わせる制度です。対象は遺留分を持つ相続人で、兄弟姉妹は対象になりません。
家系図
かけいず
祖先から子孫までのつながりを記録したものです。相続の手続きでは、亡くなった方と相続人の関係を一目で分かるようにした「相続関係説明図」を作り、戸籍の束と一緒に銀行などへ出します。
遺言書
遺言
ゆいごん・いごん
自分が亡くなったあとに、財産を誰にどう引き継ぐかなどを書き残す、最後の意思表示です。法律で決められた方式どおりに作らないと、効力が認められません。財産のことだけでなく、家族への思いを伝えるものでもあります。
遺言の方式
ゆいごんのほうしき
ふだん使う「普通方式」と、死が迫っているなど特別な事情があるときの「特別方式」の2つに分かれます。普通方式は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つです。
自筆証書遺言
じひつしょうしょゆいごん
全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印して作る遺言書です。2019年1月から、財産目録はパソコンで作ってもよくなりました(各ページに署名・押印が必要)。2020年7月から、法務局に預けることができ(手数料3,900円)、預けた遺言書は家庭裁判所の検認が要りません。
→ 遺言書のある相続
公正証書遺言
こうせいしょうしょゆいごん
公証役場で、証人2人の立ち会いのもと、公証人が作る遺言書です。原本が公証役場に保管されるため、なくしたり書き換えられたりする心配がなく、形式の不備で無効になることもほぼありません。検認も要りません。
→ 公正証書遺言
秘密証書遺言
ひみつしょうしょゆいごん
中身を誰にも知られずに、遺言書があることだけを公証役場で証明してもらう方式です。本人が署名・押印して封をし、公証人と証人2人の前に出します。本文はパソコンや代筆でも構いませんが、家庭裁判所の検認が必要で、実際に使われることは多くありません。
特別方式遺言
とくべつほうしきゆいごん
普通方式で遺言を作れない特別な事情があるときの方式で、次の4つがあります。普通方式で遺言できるようになってから6か月生きていると、効力がなくなります。
- 一般危急時遺言:病気などで死が迫ったとき、証人3人以上の立ち会いで、遺言の内容を口で伝えて作る。20日以内に家庭裁判所の確認が必要
- 難船危急時遺言:船の遭難で死が迫ったとき、証人2人以上の立ち会いで作る
- 伝染病隔離者遺言:伝染病などで行き来を絶たれた場所で、警察官1人と証人1人以上の立ち会いで作る
- 在船者遺言:船の中にいるとき、船長または事務員1人と証人2人以上の立ち会いで作る
遺言能力
ゆいごんのうりょく
遺言をするために必要な判断能力です。民法では、満15歳になれば遺言ができるとしています。遺言を作るときに判断能力がなければ、その遺言は無効になります。
共同遺言
きょうどうゆいごん
夫婦などの2人以上が、1枚の遺言書で一緒に遺言することです。民法で禁止されていて、無効になります。夫婦で遺言する場合も、1人ずつ別々に作ります。
付言事項
ふげんじこう
遺言書の最後に書き添える、家族への感謝や、財産をそのように分けた理由などのことばです。法的な効力はありませんが、残された家族の納得につながり、争いを防ぐ助けになります。
遺贈
いぞう
遺言によって、財産を人に贈ることです。相続人にも、お孫さんや内縁の配偶者など相続人でない方にも、することができます。
受遺者
じゅいしゃ
遺贈によって財産を受け取る方です。
死因贈与
しいんぞうよ
「自分が亡くなったら、この財産をあげる」という、贈る側と受け取る側の間の契約です。遺言と違って相手の承諾が必要です。贈与ですが、税金は相続税の対象になります。
遺言執行者
ゆいごんしっこうしゃ
遺言の内容を実現するために、名義変更や口座の解約などの手続きを行う人です。遺言で指定するか、家庭裁判所が選びます。2019年の民法改正で、遺言執行者は預貯金の払い戻しや解約もできることがはっきりしました。
→ 遺言書のある相続
検認
けんにん
家庭裁判所で、相続人の立ち会いのもと遺言書を開け、その状態を記録する手続きです。遺言書の偽造や書き換えを防ぐためのもので、遺言が有効か無効かを決めるものではありません。公正証書遺言と、法務局に預けた自筆証書遺言は検認が要りません。
→ 遺言書の検認
遺言書キット
ゆいごんしょきっと
遺言書の用紙・封筒と書き方の説明をセットにした市販品です。キットを使っても、全文の手書きや日付・押印など、方式を守らないと無効になります。書き上げたら、法務局に預ける制度を使うと安心です。
遺産の分け方・相続税
遺産分割協議
いさんぶんかつきょうぎ
相続人全員の共有になっている財産を、誰が何を受け継ぐか決める話し合いです。相続人が1人でも欠けると無効になります。まとまった内容は「遺産分割協議書」にして、全員が署名・実印で押印します。
換価分割
かんかぶんかつ
不動産などの遺産を売ってお金に換え、そのお金を相続人で分ける方法です。ほかに、財産そのものを分ける「現物分割」、1人が受け継いで他の相続人にお金を払う「代償分割」があります。
遺留分
いりゅうぶん
配偶者・子・親に法律で保障された、最低限の取り分です(兄弟姉妹にはありません)。遺言などで取り分が遺留分より少なくなった方は、多く受け取った方に、足りない分をお金で払うよう請求できます(遺留分侵害額請求)。
相続税
そうぞくぜい
亡くなった方から財産を受け継いだときにかかる国の税金です。遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下なら、かかりません。申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
みなし相続財産
みなしそうぞくざいさん
亡くなった方が持っていた財産ではないものの、相続税の計算では相続財産として扱われるものです。生命保険金や死亡退職金が当たります。それぞれ「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。
路線価
ろせんか
道路に面する土地1平方メートルあたりの評価額で、相続税や贈与税を計算するときの土地の評価に使います。国税庁が毎年7月ごろに公表し、地価公示価格のおおむね8割の水準です。
物納
ぶつのう
相続税をお金で納めるのが難しい場合に、税務署の許可を受けて、不動産などの財産そのもので納めることです。分割で納める「延納」でも難しい場合に限られます。
終活・葬送
エンディングノート
えんでぃんぐのーと
もしものときに備えて、家族への伝言、介護や治療の希望、葬儀やお墓のこと、預貯金・保険・カードの情報などを書き留めておくノートです。法的な効力はないため、財産の分け方は遺言書で残します。
ターミナルケア
たーみなるけあ
回復の見込みがない方の苦痛をやわらげ、心の安らぎを支える医療や介護のことです。終末期医療ともいいます。
インフォームド・コンセント
いんふぉーむど・こんせんと
医師から病状や治療について十分な説明を受け、納得したうえで治療に同意することです。
散骨
さんこつ
遺骨を細かく砕いて、海や山にまく葬送の方法です。節度をもって行えば違法ではないと考えられていますが、条例で場所を制限している自治体もあります。
エンバーミング
えんばーみんぐ
遺体の消毒・防腐・修復・化粧を行う技術です。北米で広く行われていて、日本でも専門の会社が行っています。
メモリアルグッズ
めもりあるぐっず
故人を身近に感じるためのアクセサリーや置物です。遺骨の一部を納められるペンダントや指輪などがあります。
専門家
行政書士
ぎょうせいしょし
官公署に出す書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成と、その手続きの代理を仕事とする国家資格者です。相続では、戸籍の収集、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約などを行います。不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人どうしの争いは弁護士の仕事です。
→ 事務所紹介
相続の手続きで分からない言葉や、ご自身の場合どうなるかなどは、お気軽にご相談ください。お電話(050-3786-3177・9:00〜19:00、土日祝も受付)か、お問い合わせフォームからどうぞ。